昔、 祝い事のときに食べたレチョン、
今はフィリピンを代表する料理となる。
レチョン(LECHON)は豚または鶏の丸焼きである。
豚の丸焼きは「レチョン・バボイ」と呼ばれる。子豚の内臓を取り除き香草を詰め、頭から尻尾にかけて棒で串刺しにし、火の上でゆっくり回しながら丸1日かけて焼く。レチョン・バボイは料理に手間がかかるため高価で、お祭りや誕生日などの祝い事のときに振舞われることが多い。皮はパリパリして北京ダックのよう、肉はやわらかくジューシーで美味しい。
鶏の丸焼きは「レチョン・マノック」と呼ばれる。ちょっとしたパーティーで出されたり、酒の肴にすることが多い。
お祭りも結婚式もレチョンがなければ始まらないとまで言われるフィリピンフードの王様だ。
炭火の炎熱でゆっくり焼き上げて作る。これをレバーで作ったソースをつけて食べると、フィリピーノはお祝いの気分に浸ることができる。一般の庶民にとって年に数回しか味わうことのできないレチョンは、お祭りには欠かせない。そのためお祭りが近づくと、それぞれの家は手塩にかけて育てた生後3~4ヶ月の子豚をきれいに洗い内臓を取って、レチョン専門の業者に依頼して、レチョンを作る。これにパンシットカントン(フィリピン風焼きそば)とビールあるいはタンドールがあればお祭りの準備は終わる。
レチョンの味は、とても淡泊であり、まるでお菓子のようだ。
よく焼かれた、白いお肉は甘いコクと香ばしさが広がる。食感はゼリーのような質感も感じられる。