蔚山の太和江の両側に長く続いた畑が見えます。テファ橋と三湖橋の間で生命の川をおいて、その川の流れに沿って果てしなく広がる王畑。幅2〜30メートルで4キロにも及ぶ通りは、実に十里に達するとして十里畑と呼ばれます。日帝時代に大洪水が起こって、一帯の田畑がすべて消失して砂浜に変わってしまい、1人の日本人が安値で土地を買い入れて畑を作ったところです。その後から、洪水を防止しようと、村の人々が猫も杓子も竹を植えたものが、今日の姿に至りました。途中で住宅地として開発されるところでしたが、市民たちの反対で危機を無事に越えました。
森の中に入ると、繊細に所狭しと並んだ竹が見えます。長くすらりと伸びた竹は、お互いに縛られないまっすぐな姿です。隙間が多くなく空を突き刺すかのように育って、風を閉じ込めていました。それでも残りの風が森をひとしきり吹けば、涼しい空気がローションでも塗ったかのように肌が冷たく感じます。
冬なので手足が冷たくなりますが、それにもかかわらず、ゆっくり竹の森を歩く客が多く見られます。犬を連れてきた人もいて、運動が目的なのか力強く歩いていく人もいます。ここでは手をつないだ若い恋人たちの後ろ姿も、老夫婦のおぼついた足どりも、すべて軽く感じられます。竹の間を差し込んできた暖かい日差しが、静かに人々を照らし光合成でもするかのように、それぞれ穏やかに息をしています。自然のヒーリングに浸る気持ちです。
竹の森を出てからは、太和江の白鹿潭水面の上で、凛々しい姿で浮いている、ソンバウィに向かってみます。垂直に落ちた真っ直ぐな絶壁1つが、川の上で聳え立つ姿も神秘的ですが、周辺の岩とはまったく違う材質となっています。その昔、白龍が住んでいたとも言いますが、向かい合ってたった絶壁でも隠すことができない絶景なので、詩人と墨客が好んで訪れていたと言います。
Jack's Tip。
十里畑の青々したタケノコを掘っていくことは違法であり、自発的市民の参加で行われる "タケノコ守り"として、24時間パトロールを行っているので注意してください。